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短歌2

良いものを見つけたといひ出ししもの夫は萬華鏡を本棚に置く


週に一度通ふ大阪に淀川の水瀬(みなせ)の葦の青ぐめる見つ


萬華鏡に覗けば2Kの小世界變幻自在の模様にかはる


七階より俯瞰(みおろ)す右下ハイウェイには白銀燈の光残れる


隣接のビルに静まる朝はあり窓ぎはに書類を置く事務机


アルミサッシの窓をあくれば爽やかに聞こえて東京の朝の雀ら


押し移る雷雲のさき霧湧きて垂りつつ迫るビル屋上に