良いものを見つけたといひ出ししもの夫は萬華鏡を本棚に置く
週に一度通ふ大阪に淀川の水瀬(みなせ)の葦の青ぐめる見つ
萬華鏡に覗けば2Kの小世界變幻自在の模様にかはる
七階より俯瞰(みおろ)す右下ハイウェイには白銀燈の光残れる
隣接のビルに静まる朝はあり窓ぎはに書類を置く事務机
アルミサッシの窓をあくれば爽やかに聞こえて東京の朝の雀ら
押し移る雷雲のさき霧湧きて垂りつつ迫るビル屋上に